2015/09/29

32nd JPDU Tournament 結果報告とCA金川平志郎の寄稿文

皆さんこんにちは。
お団子がおいしい十五夜をどう過ごされましたか。ぼくはバイト先でカレーライスを食べながらお団子に思いを馳せていました。お団子、美味しいですよね。特にみたらし団子は割と何個でも食べられる気がしますが食べ過ぎは太る原因になるので気を付けたいと思います。ブログ担当の吉井です。

ついこの間まで体調を崩しひたすら寝続ける日々を送っていたぼくですが、夏休み最後の思い出だけはしっかりと作りました。
そうです!32nd JPDU Tournament、通称秋Tです。
秋Tに向けて連日練習を重ねた上級生の方や初めてのBP大会という1年生まで、多くのディベーターが夏休み終わり前(おそらく)最後の大会を楽しんでいました。
結果は人それぞれだったと思いますが、続くBP Noviceや梅子杯、NEAO、Japan BPといった大きな大会が続くので皆さん気持ちを切り替えて頑張っていきましょうね。

今回は1.大会結果報告、2.Chief Adjudicator 金川平志郎さんによる寄稿文の二本立てでお送りしたいと思います。


1.大会結果

Champion
Tokyo C
Grand Finalists
WAD A
Tokyo F
Hit-U A
Semi Finalists
Tokyo A
KDS A
WAD C
ICU D
Quarter Finalists
WAD B
Nagoya A
KDS B
KDS D
ICU B
OPU D
Tokyo D
Kyoto A
Best Speaker
Shingo Fujita (WAD A)
2nd Best Speaker
Tatsumi Uchiyama (WAD A)
Fumiko Hirasawa (Tokyo C)
Shin Eto (Hit-U A)
5th Best Speaker
Ryoya Kurauchi (Tokyo C)
Keita Kurita (Tokyo F)
7th Best Speaker
Kengo Matsunaga (Hit-U A)
Chikara Mizokami (Tokyo A)
9th Best Speaker
Yoshito Ato (Tokyo D)
10th Best Speaker
Masahiro Ito (Tokyo F)

Best Adjudicator
Tomoya Yonaga (Hit-U)
2nd best adjudicator
Yasufumi Tozuka (Tokyo)
3rd best adjudicator
Kohei Arakawa (ICU/Hit-U)
4th best adjudicator
Kazuki Tokunaga (Tokyo)
5th best adjudicator
Go Shimizu (Hit-U)
6th best adjudicator
Hirohito Asai (ICU/Tokyo)
7th best adjudicator
Ryo Hayakawa (KDS)
8th best adjudicator
Toshiaki Ikehara (ICU/WAD)
9th best adjudicator
Yusuke Yoshida (Hit-U)
10th best adjudicator
Marina Nakamura (ICU)

2.CA金川平志郎による寄稿文
秋TでCAをつとめました東京工業大学の金川と申します.はじめに,大会に参加されたディベーターの方はお疲れ様でした.また特に,OB・OGの方々,お忙しい中お越しいただき,ありがとうございました.
 さて,寄稿文と言われるとすごいプレッシャーかかりますね.一部のブログの読者からブログにお叱りの言葉を頂いたとかなんとか言われているので更に緊張しますね(これは僕の想像です).僕は一日の終りにちょっと書く感想文的なブログのことをかなり想像していて,そんなマジメな文章は書けないなって思っています.また,なんでもいいから秋Tを通じて思ったことを書いてくれと言われたので,とりあえず思ったことをつらつら書きます.多少僕のような立場の人間が書くと好ましくない事柄が書かれているかもしれませんが,僕は思ったことをつらつら書きます.あとなぜか一人称が僕で始まってしまったので,これ以降は一人称は僕のまま貫きます.

はじめに
 さて,僕は基本的に頼まれたらそんなに断らない質なので,今回もCAやってくれと言われたとき,まあ他に人いないんだったらやってもいいかくらいの気持ちで承諾しました(今はとても後悔しています).ACは,モーションを作ったりアロケを組んだりというのが仕事の大会運営のチームです.「そんなにACとか苦労しないっしょ!」と思っていたので承諾しましたが,甘く見ていました.それは以下に書く2つの理由からです.
1.ACが見つからない!
 はじめに申し上げておくと,今回のACには本当に感謝しております.ほとんどの人が就活等で忙しい中,またはディベートとは距離を置いていたなど等の事情があるなか,ACを引き受けてくれたこと,またその助けをありがたく思っています(おかげで僕はそんなに仕事をしなくてすみました).
しかし,このACになるまでには実は長い道のりがありました.
 先ほど行ったとおりACの仕事はモーションを作ったり,アロケをするということで,その仕事をする上で適した人を選定しなければなりません.もちろん色々と選定の基準には主義主張があると思いますが,僕はモーションを作るための経験や知識,一緒に仕事ができそうか,またどれだけ参加するジャッジやディベーターのことを知っているかだとかを考えて選定しようと考えていました.
 ただ,このACの選定は難航しました.いくつか原因があります:
①就活時期の変更によりインターンシップ・就活で忙しかった
ACをやるであろう現役の大学生は3年生・4年生になる思いますが,就活時期の変更により,時間に余裕のある人が少ないようでした.
②ACになれそうな人→直近の大会でACやってる!
近年多くの大会がAC制をやっていることや,ブレイク実績を持っている人は限られている(人数的にも大学的にも)ということがあるためか,なかなか直近の大会に被せないで人を選ぶというのは難しいものでした.
 こういった事情もあり,AC探しは苦労しました.また特に僕は,いまの3年生の代など,下の代に入ってもらおうという目標があったため,AC選定は難しいものでした.こう言うと老害っぽいですが,いまの3年生はACをできるような実績を持つ人間の競技人口が特に少なく,また3年生以下の代の人はBPでのジャッジブレイクの実績に乏しいということもあり,どうしたものかと考えました.後にまた説明しますが,僕はこの状況に少し不安を覚えました.

2.モーションがなかなか決まらない
 僕は以前BP Noviceという大会でACをやっていたので,まあなんとかなるだろと考えていました.しかし,ここでの失敗は「BP Noviceは,会議を徹夜を何回も繰り返すというブラック企業的な働き方をしていたこと」を忘れていたことでした.そうなのです.相当暇な大学生じゃなければ,そんなやり方はできないのです.そして問題だったのは,今回ACを引き受けた人は私を含め,そんな感じの大学生ではなかったということですね.
大会のひと月前くらいからモーションは作り始めて,モーションの数は増えていったのですが,会議でプレパをしてみるとどうでしょう,たくさんあった自信のあるモーションは,いつのまにかボツのレッテルを貼られて消えていったのでした.こうして大会の一週間前か二週間前から,モーションを更に作るという作業が始まったのでした.またその間にもジャッジテストの採点や就活など色々人によっては大事なイベントもあり,結局徹夜会議などを何回か繰り返すことでようやく今回大会で出したモーションへとたどり着いたのでした(ここで僕がいいたいのはいかに,ACが大変かということではなく,計画性を持って行動しないと大変になりますよってことです).
 大会に出せるモーションは,(主義主張はいろいろあると思いますが),基本的には公平で,かつ参加するディベーターの能力に合ったものだと考えています.またディベートというのが公的な主題に対して賛否を論じる競技であるため,そもそも賛成反対がきちんとできあがる,つまり自然とディベートになるようなものを作る必要があります.今回の大会でも,それを念頭にどんなことが言えるかなとACの間でプレパやリサーチをして会議を行いました.
 またこれは個人的な話となりますが,特に注意したのはバリューモーションです.ありがちなのはTH regrets ~ やTH opposes のような形のもので,これらはとてもモーションを作るのに便利な技なので,つい使いたくなってしまいます.なぜならとりあえず悪そうな社会問題を持ってきたり,とりあえず自分がregretしたいな~って物を持ってきてあげればカンタンにモーションっぽいものができるためです.ただ問題なのは,それがかならずしも良いモーションになるとは限らないということです.
 例えば,TH regrets ~ となっていても,それが誰にとってregretすべきなのかが明確でないものになっているとどうでしょう?おそらく4チームの間で別々の主体に対する価値判断が行われたりするかもしれません.もしくは,大げさな例ですが,死生観だとか人生観のように価値判断に優劣がつけられないもしくは公的な目標・共通したゴールがないようなものが価値判断であるようなモーションは,そもそも「regretしたいやつはして,しないやつはしなければよくね?」のようにディベートが起きない場合があります.
 と,こういう懸念もあってか,今回の大会ではそういうワーディングを使ったモーションは比較的少なくポリシーディベートになるようなモーションが多くなったかととは思います.

結局感想は?
ここからは特に論理的ではない感想というかただ思うところを書いていきます.

1.このままやっていけるのか(AC)
 これは僕がAC選定で手間取ったというのがありますが,現役生のジャッジ実績・ディベーター実績を持つ人間の中だけでACを選定していくのは難しいのかなあと思います.というのもいまの3年生以下の世代の中だけで,実績を持つ人間だけで選ぶと先ほども言ったとおりかなり候補が狭まってしまうためです.またある程度ジャッジでの実績を稼いでいるような4年生は今年で卒業し,社会人となってしまうため,なかなかにこれ以降現役生だけでACを編成するのは難しいのかなあと思います.もちろん社会人をACに入れることがカンタンだというわけでもありませんが.今のような状況が起きているのは色々な原因があると思いますが,国内大会を見れば,昨年卒業されてった代の方々のように,ディベートを長く続ける方が増えたことによって,下級生が実績を稼ぐのが難しい状況が続いたことがあるのかなあと思います.僕が思うのは,あんまり実績だとかなんだとかにうるさく言い過ぎるとそもそもACが作れないという状況にもなりうるので,ほどほどになったほうがいいんじゃねってことです.5人じゃなくてもいいし,前やった人がやってもいいし,社会人でもいいしって感じにですね.
 あとは競技人口をいかに多めにキープするかですね.やはり競技人口が多くないと選ぶプールが少なくなるので,必然的に選定は難しくなります.また特定の大学だけでなく,色々な大学がブレイクするということが望ましいですね.望ましい状況を述べただけで特に解決策はない感想ですが,こうだったらなあと今回ACやって思ったのでとりあえずここに記します.

2.ディベーターの質とジャッジの質
 大会を通して思ったのは,一つの大会で,強いディベーターと良いジャッジはなかなか両立しないなということです.これは日本の大会では秋から冬にかけて起こる現象で,ディベートを引退するぞ(実際にするかはさておき)の大会の引退前の駆け込み需要(?)で大会に出る上級生が多くなる時期だからだと僕は認識しております.春Tや今回の大会では,社会人や大学院生のジャッジが多かったため,ある程度はその両立ができたと思っていますが,現役の大学生だけでは不可能だったなあと思います.このまま社会人や大学院生に頼る構造はそんなに長く続かないんじゃないかなあというのが今思っていることです.
 もちろんディベート界としては,経験ある社会人や大学院生の参加が多いほうが,好ましい状況ではあると思います.某OBの方のように,平日の夜にディベートを教えてくださる方や,大会でジャッジをしてくださる方から学ぶことがとても多いからです.しかし同時に,現役生は現役生で社会人に頼らなくてもやっていける構造を作っておかないとまずいんじゃないかなあと思うわけであります.いつお仕事でいなくなるかわからないですからね.
 そこで僕がいいたいのはもっとジャッジをしようということです.もちろんジャッジ以外にも色々改善しなければならないところはありますが,とりあえず書いときます.
 これは,提供ジャッジを先輩に任せてディベーターとして大会でまくるということを考えなおせということでもありますが,もっと大切なのは,普段の練習からジャッジをきちんとやることですね.
 ジャッジは必ずしも面倒くさい裏仕事ではありません.ジャッジになったとき,とりあえずよくわかんないモーション出してみるとかじゃなくて,きちんと練習になるモーションかを考えてみたり,ラウンドが始まる前にディベーターと同じようにプレパしてみるだけでもディベーターとしてのスキルを磨く練習にもなると思います.またディベートそんな興味ないけど(あってもいいですが)英語力鍛えたいって人はRFDを,ディベーターがスピーチをつくるがごとく英語で準備してみると良いと思います.ジャッジングから学ぶことはたくさんあります.ジャッジを通して他人の良い所・悪い所を批評することは,自分のスピーチを省みるいい機会になります.
 もちろんジャッジもディベーターと同じように,自分だけでは何が悪いのかわからないことが多いと思うので,先輩と一緒にラウンドに入ったりだとか,ディベーターからのジャッジングに対するフィードバックをもらって改善していくようにしていきましょう.先輩がいないとか,自主練したいなんて人はAC見解などのある大会のジャッジテストの動画をみたりすればいいんじゃないかと思います.あと基本的にジャッジは英語の耳ができてないと難しいので,英語のリスニング力を鍛えるというありがちなトレーニングも必要ですね.海外ディベーターの動画にチャレンジしてみるのもいいと思います.
 またディベーターの人は,ジャッジに対して建設的なアドバイスを上げることを意識しましょう.練習の試合で負けにされたからといってブチ切れて噛み付いていたのでは,相手を非難しているだけで意味がありません.噛み付いて終わりではなく,大切なのはそのジャッジングでなにが分からなかったのか,どういう風にすれば改善できたのかということを教えてあげることです.ジャッジも練習に参加している一員ですので,ディベーターと同様に自身を改善する機会が与えられて然るべきだと思います.「おまえは下手くそ!」しか言ってこないジャッジがいたらイラッとするでしょう?練習は,フィードバックをくれるジャッジにとってもまた練習なのだということを意識しましょう.

おわりに
 ジャッジの評価の仕方は,ディベーターのスピーチを形作っていきます.仮にこのコミュニティがイラジャばっかりだったら,そのイラジャを説得する方向をディベーターは模索していきます.現実的にそのようなことは無いとは思いますが,強いディベートのコミュニティになっていくためには,コミュニティのジャッジのレベルが向上していくのが好ましいのかなと思います.
 個人的には先程述べたジャッジの質とディベーターの質が両立するようなコミュニティは大会が後腐れがなくていいなあと思っているので,そういう方向性に向かって行ったらいいなとおもいます.みんなジャッジも頑張って,サステイナブルなディベート界にコミットしよう(意識爆上げ).



金川さん素敵な文章ありがとうございました。
ジャッジ不足、コミ不足(僕の思い)は共に悩みの種ですね。
これからのディベート界が明るくなるように、ぼくも少しずつジャッジに挑戦していこうと思いました!
ではみなさんも、素敵な後期生活を!




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