2012/05/14

JPDU・KUELワークショップが開催されました

JPDU・KUELワークショップの様子
左:Jonathan(九州), 教室奥:小宮山さん(青学)、緒方さん(KUEL)、高橋正篤くん(東大)

こんにちは。春のJPDUトーナメント、ゴールデンウィークも終わり、各大学の皆さんは新入生の練習に精を出しているころでしょうか。さて、そんな中5月12日に上智大学にてJPDU・KUEL合同ワークショップが開催されました。

JPDUは“日本のディベートを強くする”という目標と共に、“日本でよりディベートを普及させる”という目標を掲げています。今回のワークショップはKUEL(関東学生英語会連盟)さんと協力することにより、JPDUに加盟していない大学や新興大学に向けてディベートを知り、体験する機会を設けることを趣旨としたものです。今回のワークショップには学習院・拓殖・法政・埼玉大・芝浦大・上智短大などから、40人以上の方が参加してくれました。

ワークショップは、レクチャーとエクササイズ、モデルディベートから構成され、ディベートについて一通り知ることができる、体験ができるというものでした。レクチャーではディベートの基本的なルールと議論の構造について説明し、エクササイズでは議論を実際に建てる練習とスピーチを実際にやってみる練習を行いました。参加者の皆さんはディベートという活動を通じて、ものごとを様々な角度から考えることを楽しんでいるように見えました。ワークショップの最後には、”THW ban nuclear power plant” という議題でモデルディベートを行いました。Govサイド(肯定側)をこの記事の筆者、高橋良輔(早稲田大学)と小島葉さん(上智大学)が、Oppサイド(否定側)を高橋正篤(東京大学)とJonathan Borock(九州大学)が務めました。ディベートを1年やれば、この位英語が話せるようになるというモデルを示すことによって、参加者がディベートに興味を持ってくれたならば良いことだと思います。

“ディベートを普及させる”という目標は、“ディベートを強くする”という目標と反対の概念の様に思う方もいるかもしれませんが、私は必ずしもそうではないと思います。むしろ参加者が増え、活性化することがディベート界全体の競争を促進し、結果として“強くする”という目標をも達成させるのではないでしょうか。今後も、こうした新興大学や非加盟大学向けの練習会を企画していく予定なので、多くの人にディベートを触れてもらいたいなと思います。

それでは、また次回の更新で!

2012/05/07

第3回JPDU会議の様子

5月4日、東京工業大学でJPDU会議が開かれました。ゴールデンウィークの真っ最中ではありましたが、およそ20人の役員が集まりました。

第3回会議の様子

会議を進めるJPDU代表 高柳(国際基督教大学4年)

左:副代表 林(早稲田大学3年) 中央:代表 高柳(国際基督教大学4年)

第3回会議では、過去2回の会議でも話し合われていた秋トーナメント(秋T)のBP化についての議論に再び多くの時間が割かれました。先日JPDUは秋TのBP化についてメーリングリストを通じて各大学に意見調査を行い、そこで新たに得られた各大学の実情が議論をする上での重要な参考資料となりました。

BP Style*は世界大会といった多くの国際大会で採用されているディベートスタイルです。そのため、各大学が重要視している秋Tのスタイルを、主に日本国内と北米でしか扱われていないNA Style**からBP Styleに移行することは、日本人が国際大会で活躍するためのさらなるスキルアップにつながり、秋TをBP Styleにする意義は非常に大きいです。しかし、一方で、BP Styleのラウンドを行うためにはジャッジを含めて9人必要で、部員数の足りていない新興大学にとってはこのことが大きな障壁となっています。議論の結果は後日、PDML及び公式ウェブサイトでお知らせする予定となっています。是非、チェックしてみてくださいね。

以下、第3回会議で上がった議題のリストです。

第3回会議での議題
(1)春トーナメントの結果報告
(2)Pre-Australsについて
(3)PDMLの普及について
(4)秋トーナメントのBP化について
(5)夏セミナーの運営役員決め
(6)会場提供のルール

会議の後は役員同士の親睦を深めるために、食事会が開かれました。ディベートの大会や練習会でしばしば顔をあわせることがあるといっても、やはり違う大学出身の人と仲良くなるには時間がかかります。こうした親睦会を通して、役員同士の絆が深まり、大会やセミナーの運営を円滑に進めるための糧となればいいですね。

次回6月に開催される会議の様子や、議題のリストはまたこちらで公開する予定となっています。是非、今後もチェックしていってくださいね。それではまた。

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*BP Styleとは、British Parliamentary Styleのことで、2人から構成される4チーム(計8人のディベーター)が肯定側・否定側に分かれて議論を行うディベートのスタイルです。北東アジア大会や世界大会など多くの国際大会で採用されているのが特徴ですが、試合を行うのにジャッジを含めて9人必要であり、戦略がNA StyleやAsian Styleに比べて複雑であるという側面もあります。

**NA Styleとは、North American Styleのことで、2人から構成される2チーム(計4人のディベーター)が肯定側・否定側に分かれて議論を行うディベートのスタイルです。試合に必要な人数が5人であるため部員数が少ない大学でも練習しやすく、日本国内では広く普及しています。しかし、NA Styleで開かれている国際大会がほとんどないため、事実上国内大会専用のスタイルとなってしまっています。秋トーナメントは例年このNA Styleを採用してきています。


2012/05/01

JPDU Spring Tournament 2012が開催されました

JPDU Spring Tournament 2012 会場の様子


こんにちは。ゴールデンウィークの真っただ中の今日この頃ですがみなさんいかがお過ごしでしょうか。


去る428()29()JPDU Spring Tournament 2012が行われました。全20大学から56チームが出場し、1日目の予選は東京外国語大学が、2日目の本選では国際基督教大学が会場となりました。


JPDU Spring Tournament3人で構成されるチーム同士で戦うAsian Style形式での日本一のチームを決める大会で、毎年春に開催されています。ディベートを始めて2年未満のディベーターのみで構成された新人チームのRookie Championを決めるのも特徴です。

気になる結果ですが、

Champion/優勝
  ICU[国際基督教大学] A (Shuntaro Seki,Sei Takizawa,Kohki Sasaki)

Finalist/準優勝
  Hit-u[一橋大学] B (Tomoya Yonaga,Naohiro Togashi,Noritaka Kon)

Semi Finalist/ベスト4
  Tokyo[東京大学] E (Yuki Tominaga,Shintaro Okawa,Yuki Inoue)
  ICU[国際基督教大学] B (Aiko Imai,Yuki Tanaka,Shunichi Arai)


Rookie Champion/新人優勝
  ICU[国際基督教大学] E (Miki Hosaka,Tatsuya Hayashi,Ayane Nomura)

Rookie Finalist/新人準優勝
  KDS [慶應義塾大学] C (Nobuhiro Morita,Monami Nohara,Shotaro Nakano)

となりました。

Prizeを得たチームの方々本当におめでとうございます。
国際基督教大学がメイン、ルーキーともに優勝を飾るという素晴らしい結果を収めました。

優勝したICU A


新人優勝したICU E

決勝で扱われた議題は

THBT Japan should abolish nuclear power plants.
(日本政府は原子力発電所を廃止すべきである)

でした。まさに今日本で議論になっている話題ですね。決勝に勝ち進んだ国際基督教大学と一橋大学は熱い議論を交わしていました。
後日JPDUHPGrand Final、Semi Final、Rookie Grand Finalの様子の動画がアップされるようなので、ぜひご覧になってみてください。

なお、本大会で出された議題は以下の通りです。
Asian Styleの大会では3 motion制をとっており、3つの議題が与えられ、各チームこのうちやりたいmotionの優先順位付けをします。各チームが3番目にしたmotionは自動的に行われないことになり、それぞれの優先順位を照らし合わせて実際に議論する論題が決まります。

Round 1  Theme: Innocent Children’s Cute Motions
THW allow single fathers/mothers to raise their children behind bars.
(シングルマザー・ファザーが牢獄の中で子供を育てることを許可する)
THBT students should bully each other during classes as a part of moral education curriculum.
(道徳教育のカリキュラムの一環として、授業中生徒はお互いにいじめ合うべきである)
THBT liberal democracies should end instilling nationalism on children in compulsory education.
(自由民主主義国は義務教育の中でナショナリズムを教え込むことを止めるべきである)

Round 2  Theme: The Invisible Hand?
THW nationalize all forms of private banks.
(あらゆる民間の銀行を国有化する)
THW prohibit discrimination in the labor market on the basis of appearance.
(労働市場における容姿に基づく差別を禁止する)
THBT WTO should impose trade barriers on products/services which were manufactured/provided by workers with excessively low labor standard.
(WTO(世界貿易機関)は過酷な労働環境で働く労働者によってつくられた製品やサービスに貿易障壁を課すべきである)

Round 3  Theme: WHAT’S WRONG WITH BEING LGBT?
THBT adoption agencies that receive state funding should give priority to same sex couples.
(国から資金供給を受けている養子斡旋機関は同性愛者のカップルに優先的に養子を斡旋すべきである)
THBT the LGBT community should “out” (reveal to the public that they are LGBT without their consent) celebrities.
(LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)のコミュニティーは芸能人がLGBTであるということを彼らの同意なしに暴露すべきである)
THW introduce a quota system for LGBT in the national parliament.
(議会においてLGBTのクオータ制を導入する)

Round 4  Theme: Flooded with Blood
THW prohibit military from accepting embedded journalists.
(軍が従軍ジャーナリストを受け入れることを禁止する)
THBT the media should show the full horror of war.
(メディアは戦争の恐怖をすべて見せるべきである)
THW make aid inversely proportionate to military spending.
(援助額を軍事費に反比例して増減させる)

Pre Quarter Finals  Theme: An Inconvenient Truth
THBT United States should nationalize all hospitals.
(アメリカ合衆国はすべての病院を国有化すべきである)
THBT United States should make citizens who lost a civil law suit to pay for the opponent's lawyer cost in all cases.
(アメリカ合衆国は民事訴訟で負けた市民に相手側の弁護士費用を払わせるべきである)
THW abolish gated communities.
(ゲーティドコミュニティを廃止する)

Quarter Finals Theme: Thank God, I’m Atheist
THBT the ICC should prosecute the Pope for crimes against humanity.
(ICC(国際刑事裁判所)はローマ教皇を人道に対する罪として訴追すべきである)
THW require all religious schools to teach safe sex regardless of parental consent.
(すべての宗教学校に親の同意に関わらず安全な性交渉について教えることを求める)
THBT priests should report the confession of serious crimes to the police.
(聖職者は重大な犯罪に関する告解を警察に報告すべきである)

Rookie Semi Finals  Theme: What’s the Right Thing to Do?
THW refuse to extradite suspected criminals to states where they face the death penalty.
(死刑判決を受ける国への容疑者の引き渡しを拒否する)
THBT citizens convicted of serious crimes should lose all state benefits.
(重大な犯罪で有罪判決を受けた国民はすべての公的給付を失うべきである)
THW introduce racial profiling by the police.
(警察によるレイシャルプロファイリングを導入する)

Rookie Grand Final  Theme: Asia Now
THBT China should end its censorship now.
(今すぐ中国政府はすべての検閲を廃止すべきである)
THBT West should stop all forms of sanctions on Myanmar now.
(今すぐ欧米諸国はミャンマーへの制裁を解除すべきである)
THW allow unnatural sex (anal, oral, etc) in Islamic countries.
(イスラム諸国において反自然的性交を認める)

Semi Finals  Theme: YOU HAVE NO CHOICE
THW punish citizens who do not take regular medical check-ups.
(定期的な健康診断を受けない国民を処罰する)
THW increase consumption tax without majority consensus in Japan now.
(今すぐ日本において多数の同意なしに消費税を増税する)
THBT democracies should conscript citizens by lottery when facing any prolonged
military intervention.
(民主主義国は、軍事介入が長期化した際にくじによって国民を徴兵すべきである)

Grand Final  Theme: Good Old Days!
THBT Japan should abolish nuclear power plants.
(日本政府は原子力発電所を廃止すべきである)
THW ban abortion at all stages of pregnancy.
(人工妊娠中絶を禁止する)
THW prohibit eating meat.
(肉食を禁止する)


春は新学期も始まり、各大学、新入生の勧誘などで忙しい時期ですが、それらの合間を縫って、優勝や予選突破を目指して練習を重ねてきたようです。

また、大会中もいくつかの大学の新入生が見学に来ていて、上級生からディベートの説明を聞いたり、真剣に試合を見る姿などをたくさん目にしました。この時期からディベートに興味を持ってくれている1年生がたくさんいるのを見て未来のディベート界がとても楽しみになりました。

次にトラベラーズカップはどの大学のもとへ渡るのでしょうか。

JPDUが主催する次の大会は6月に行われるJPDU Pre-Australsです。
こちらの大会もぜひご参加くださいね。

ではまた次の更新でお会いしましょう!


決勝戦の様子
(左:一橋大学、右:国際基督教大学)


新人決勝の様子


表彰式の様子

Tournament Director(大会実行委員長)挨拶の様子